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社長コラム「社長のラクガキ帳」

column

「明治」

2010年 12月 27日 ( 月 )

代表取締役 橋詰春彦

現在、政治も経済もこんな不透明な毎日のせいでしょうか、テレビ等でさかんに「明治」という時代が取り上げられています。閉鎖的な時代からエネルギッシュに生まれ変わった「明治」という時代の力強さが求められているのかもしれません。
幕末・明治というと竜馬や西郷等々の偉人といわれる人達を思い浮かべると思いますが、皆さんは「エルトゥ−ルル号」のお話をご存知でしょうか。
これは明治23年、和歌山県の沖でトルコの船エルトゥ−ルル号が台風により遭難し、それを紀伊大島村の住民が危険をかえりみず総出で救助にあたり、69名を助けた話しです。凍えるトルコ船員を住民は自らの体で暖め・介抱し、当時はまだまだ貧しい日本人が全国で義援金を出し合い、その69名を無事にトルコまで送り届けたのです。現在世界で最も親日的な国はトルコ共和国であるといいますが、それはこの件がトルコの人達の心に刻まれているからです。
そして、それから100年後の1985年イラン・イラクの戦争が始まり、イランに残留している500名の日本人の救出が急務になった時の事です。
日本では日本航空も全日空も、そんな危険な所に飛行機は出せないと拒絶し、自衛隊も又、法律によって飛ばせない状況で、イランに残っている邦人を助ける術がありませんでした。そんな時です。トルコ共和国が特別機を出して機長やスタッフ全員が自らの危険をかえりみず、イランへ飛んで日本人を救出してくれました。
     その時のトルコ共和国の大統領の言った言葉は
  〜我が国は100年前に海で助けてもらった。
                その恩義を今度は空でお返ししましょう〜 

100年前、うぶ声をあげたばかりの明治という時代の貧しく名もない人達が、ごく自然にあたり前の事としてとった行動が、100年経った後このようにして返ってきたのです。
今、毎日暗いニュースばかりが氾濫している世の中を、先人達はどの様に見ているでしょうか。そして私達は次の世代に何を残せるでしょうか。
私達は今を生きる中で心のどこかに置き忘れてきてしまったものを、もう一度思い出す必要があるのかもしれません。

新年を迎えるにあたり、皆様のご健康と幸せをお祈り申し上げます。
                       
                 
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